最近、偶然にもダイエットの話をよく耳にします。
中でもやはり糖質を我慢するというのを。
どうしたもんでしょう。明らかに酔いのせいで満腹中枢がイカレたときの、これでもかの炭水化物。
麺と飯のダブルもいとわず、夜中に酔いが醒めた頃に胃が苦しくて目が覚めてしまう私ですが、もはや病気かもしれないと思う、福岡の女性税理士・社会保険労務士の滝口綾子です。
これから忘年会シーズンです。皆さまもお体お大事に。。。
さて、「働き方改革」のもと「副業・兼業を推進」する流れにありますが、「副業・兼業」をする方が、確定申告が必要か否かについて、年末調整と重ねて最近ご質問の多い内容の一つです。
大前提:年末調整を受けたサラリーマンに対しての「申告不要」
「申告不要」「20万円」が独り歩きをしていることが多々あります。
では、どんな人が確定申告が不要になるのか?
年末調整を受けた給与所得者が一定の要件に該当する時に、申告不要となります。
年末調整を受けてない場合には、正しく年税額の精算が行われていませんし、
乙欄で多く源泉徴収されている場合が考えられますので、該当しません。
年末調整の対象とならない人、例えば、
・ 給与所得が2,000万円を超える人
・ 災免法により源泉徴収税額の猶予・還付を受けた人
・ 非居住者
・ 日雇労働者など
はこの大前提から外れます。
一定の要件とは?
(1)給与を1か所から受けていて、給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の人
(2)給与を2か所以上から受けていて、年末調整を受けた主たる給与以外の給与の収入金額と、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下の人
(2)には但し書きがあります。
給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の人
とありますが、これだけでは???ですよね。
では、具体的に。
給与を1か所でもらう人の副業の場合
給与をもらってるのは1か所の人=給与の源泉徴収票は1枚のみの人は、
給与所得と退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下だったら確定申告不要です!
所得金額の合計額とは、収入ー経費=利益(所得金額)の合計額です。
例えば①、不動産収入が60万円あっても、経費が45万円だったら、15万円(60万円ー45万円)で20万円以下となります。
例えば②、雑所得として、講師料の収入が25万円あったとしても、交通費や書籍代等で経費が6万円かかったとしたら、19万円(25万円ー6万円)で20万円以下となります。
※ この場合、講師料の謝金に源泉徴収がされていた時は、確定申告をして税金の還付を受けることができる場合があります。
給与を2か所以上でもらっている人の副業の場合
給与をもらってるのは2か所以上の人=給与の源泉徴収票は2枚以上の人は、
年末調整を受けたメインの会社以外でアルバイト等した給与の収入金額の合計額
+ (プラス)
給与所得と退職所得以外の所得金額の合計額(兼業・副業の利益(所得)の合計額)
= 20万円以下 だったら確定申告不要です!
ここではメイン以外の給与は収入金額です。
の給与収入(源泉徴収票の「支払金額」)の合計額とその他の兼業・副業の所得金額との合計額で20万円を判定します。
例えば、メイン以外2か所で、給与収入が10万円と5万円、兼業・副業での収入が3万円、経費が5千円で利益が2万5千円ならば、その合計額は17万5千円で20万円以下となります。
※ この場合、メイン以外は従たる給与として乙欄で源泉徴収されているので、確定申告をすることで税金の還付を受けることができる場合があります。
【ただし書き】=例外として、
上記で申告不要とならない場合でも、下記の要件に該当すれば申告不要となります。(2段階判定)
こちらは、メインの会社も含めた、すべての給与の収入金額の合計額
ー(マイナス)
各種所得控除額の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)※この3つ控除は確定申告が必要な所得控除
=150万円以下
なおかつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額(兼業・副業の利益(所得)の合計額)が20万円以下 だったら確定申告不要です!
例えば、メインの給与収入が320万円、アルバイトの給与が15万円と10万円としたら、メイン以外の給与収入が20万円を超えているので確定申告をせねばとなるところが、
扶養の人数が多くて、扶養控除・社会保険料控除・生命保険料控除等で所得控除額の合計が200万円となった場合は、
差引(320万円+15万円+10万円)ー200万円=145万円
で150万円以下となりますので、
その他の兼業・副業の利益(所得)が20万円以下となるときは、確定申告不要となります。
※ この場合、メイン以外は従たる給与として乙欄で源泉徴収されているので、確定申告をすることで税金の還付を受けることができる場合があります。
同族会社の役員等の20万円以下の副収入はご注意を!
上記の確定申告不要の判定をクリアしても、必ず確定申告が必要となる人がいます。
それは、同族会社の役員やそれらの親族等については、その会社から給与のほかに、
・ 貸付金の利子
・ 不動産の賃貸料
・ 機械器具の使用料など
の支払いを受けている人は、それらの所得が20万円以下であっても、確定申告不要とはなりませんので、ご注意ください。
結局は確定申告不要は得なのか?
なぜ、20万円以下の兼業・副業は確定申告不要となるのか?
事務作業の簡素化と費用対効果を鑑みての少額税額の行方をどう見るか?といったところなのでしょうか。
源泉徴収義務者を給与支払者として、給与支払時に税金の前払いを月々行わせ、年末に1年間の精算(年税額の確定事務=簡便的確定申告)を年末調整として行わせることとしているのも、ポイントですよね。
兼業・副業で確定申告をすれば、税金の還付を受けることができたり、場合によっては赤字の時に所得金額を圧縮できたりすることも考えられます。
税金を多く払わなくて良かったということも、知らずに多く払ってしまっていることも。
次回は、兼業・副業の確定申告不要と住民税との関係についてを。