雨が続いて、不快指数も上がってきました。
日本の夏、ナメんなよって感じでしょうか?
福岡の女性税理士・社会保険労務士の滝口綾子です。
皆様の会社では1年の始まりって、1/1ですか?年度(事業年度)始めですか?
私の中ではなんだかかんだで、仕事は6月始まりのように感じてます。
労務の慌ただしさ、決算申告の関係からも。。です。
さて、7/1になったと同時に電子申請始めまーす^^

  
  

厚生労働省の通達より(令和6年4月5日基発0405第6号)

「在宅勤務手当」を割増賃金の算定基礎から除外する場合について通達が出ました。
「在宅勤務手当」を取り上げるのは少し懐かしい感じもしますが、通達として明示されました。

復習するならば、
割増賃金の基礎となる賃金とは
割増賃金は1時間当たりの賃金を基礎として、それに割増率を乗じることにより算定されます。
基礎となる賃金に算入しない賃金として、下記のものが法律によって定められています。
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当
臨時に支払われた賃金及び1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

いわゆる「在宅勤務手当」については、一般的に!?原則的に!?在宅勤務手当が労働基準法上の賃金に該当する場合には、割増賃金の基礎となる賃金に算入されます。

在宅勤務手当を割増賃金の基礎に算入しない場合
ただし、在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当は賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しません。

~今回の通達によれば、在宅勤務手当が実費弁償として扱われるためには、当該在宅勤務手当は、労働者が実際に負担した費用のうち業務のために使用した金額を特定し、当該金額を精算するものであることが外形上明らかである必要があります。

実費弁償の計算方法
在宅勤務手当が実費弁償とされるために必要な計算方法としては、以下の3つの方法が示されています。
(1) 別添の国税庁在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)で示されている計算方法
(2)(1)の一部を簡略化した計算方法
(3)実費の一部を補足するものとして支給する額の単価をあらかじめ定める方法

~「在宅勤務手当」を割増賃金の算定基礎から除外することは労働条件の不利益変更に当たると考えられるため、法令等で定められた手続等を遵守し、労使間で事前に十分な話合い等を行うことが必要である~
とも書かれてあります。


所得税は?算定基礎届は?

というところまで気を使わなければならないですね。
「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」によると、

~在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企
業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する
必要はありません~

とあります。
実費相当額を清算する方法でなければ、「給与課税」ということです。

なので、厚生労働省の通達にある方法のどれを取るかによっては、「給与課税」の可能性が「0」ではないということに。

また、算定基礎届に記載する「標準報酬月額の対象となる報酬」とは、
賃金、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものを含み、
金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。

報酬とならないものの具体例として下記のものがあります。
●福利厚生的な意味合いの
病気見舞金、災害見舞金、弔慰金、結婚祝い金、就職祝い金など
●公的保険給付としての
健康保険の傷病手当金、労災保険休業補償給付など
●臨時的、一時的にうける
大入袋、解雇予告手当、退職金など
●実費弁済的なもの
出張旅費、交際費など
●年3回まで支給されるもの
賞与など(年3回以下のもの=標準賞与額の対象) 

↑↑↑の●実費弁済的なもの●に「在宅勤務手当」が当たるのかもしれませんが、これについては別途確認が必要かもしれません。

いずれにしても、「在宅勤務手当」の計算方法や支払方法を定める規程等の整備、労使間の話し合いや周知は必要ですが、それに係る事務負担も考慮しなければならないように思います。